先日、競馬で稼いだ所得を申告しなかったとして、男性会社員が大阪地裁に起訴される事件がありました。
2007年から2009年にかけて購入した馬券が約28億7000万円、払戻金が約30億円でこの間の利益は約1億4000万円とのこと。
しかし、起訴した検察側はこの間の所得税5億7000万円を脱税したとしている。
1億4000万円の儲けに対し、どうして5億7000万円もの所得税が課されるのか?
競馬の払戻金は、所得税の一時所得に該当します。
年間の儲け(=払戻金-当り馬券の購入額)が50万円を超える場合には申告が必要となります。
ここで注意しなければならないのは、馬券の購入額の取扱いです。
払戻金から控除できる馬券の購入額は、あくまで当り馬券の購入額に限られ、
外れ馬券は控除することができないのです。
一時所得については所得税法34条に規定があります。
その条文において、控除できる金額は、「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。」とあり、検察はこの条文を根拠に脱税した所得税額を計算し、起訴をしたものと考えられます。
つまり、購入した馬券28億7000万円には、外れ馬券も含まれており、当り馬券の購入額のみを差し引いて計算すると所得税額が5億7000万円になるものと推察されます。
起訴された方の、馬券の購入規模には驚きましたが、本人もこの起訴内容には納得していないようで、弁護側は外れ馬券も経費に算入すべきとしているようです。
この収入と支出の程度からすれば、事業所得ではないかと仰る方もいるかもしれません。
そうすれば、外れ馬券も経費になり得るからです。
しかし、事業所得は農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得とされており、競馬の賭けは、そのいずれにも該当しません。
今後の裁判の行方が気になるところです。
ご相談をお待ちしております。お気軽にどうぞ。
山邉洋税理士事務所
www.yamabe-office.com
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