山邉ブログ

2010.07.16更新

本日は、譲渡損益の繰り延べの最終回です。
譲渡損益の戻し入れについてお話したいと思います。


前回も触れましたが、資産を取得した法人側において、
対象資産の譲渡・償却・評価替え・貸倒れ・除却などの事由が生じた場合には、
譲渡した法人側で繰り延べられていた譲渡損益の戻し入れ処理を行わなければなりません。

しかし、上記事由は対象資産を取得した法人側でのことなので、
対象資産を譲渡した側ではその事実を知らせてもらう必要があります。
法人税法では通知義務を規定し、対象資産に一定の事実等が発生した場合には、
取引の相手方にその事実が発生した旨を通知することにしています。


なお、戻し入れ事由と戻し入れ額については、次の通りとなります。

 ・ 戻し入れ事由

    1.対象資産の譲渡、貸倒れ、除却
    2.適格分割型分割による対象資産の移転
    3.会社更生法等の規定による評価替えがあり、評価益が益金算入された場合等
    4.会社更生法等の規定による評価替えがあり、評価損が損金算入された場合等
    5.連結納税の開始に伴う時価評価資産に該当したとき
    6.完全支配関係を有しなくなったとき
    7.譲受法人が公益法等に該当することとなったこと

       ⇒ 1~7の場合 
          これらの事由が生じた場合は繰り延べた譲渡損益全額(以下「A」)を戻し入れします。

    8.譲受法人側において、減価償却資産又は繰延資産にかかる償却費を損金算入したとき
 
       原 則 :  A × (譲受法人の償却費) ÷ (譲受法人の取得価額)
       簡便法 :  A × (譲渡法人の事業年度の月数) ÷ (譲受法人で適用する耐用年数×12※)
                ※ 繰延資産の場合は効果の及ぶ期間の月数
        ⇒ このいずれかの方法により計算した金額を毎期、戻し入れしていきますが、
          簡便法を採用する際は、譲渡事業年度の申告書にその明細を記載しなければなりません。

    9.対象資産に該当する有価証券を譲渡したとき

        ⇒ 譲渡した数に対応する部分の金額を戻し入れします。

   10.償還有価証券について、調整差益又は調整差損が益金又は損金に算入されたとき

        A × 事業年度の月数 ÷ 償還日までの月数
        ⇒ この金額を戻し入れします。

投稿者: 山邉洋税理士事務所

税務関連・相続のご相談は TEL:03-3261-2363 メールでのお問い合わせはこちら
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