山邉ブログ

2010.07.08更新

本日は「グループ法人税制」の続きです。

前回省略した特定の支配関係についてお話します。


 前回の文中の「特定の支配関係」とは税務上「完全支配関係」といい、次のような関係をいいます。

  (1) 一の者が法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係
  (2) 一の者との間に上記(1)の関係(当事者間の完全支配関係)がある法人間の相互の関係

しかし、これではあまりにも分かりずらいと思いますので、具体例を挙げてみます。


☆ 一の者がA社の株式の全部を保有する場合の一の者とA社との関係
   
   一の者は個人である場合と法人である場合が考えられますが、
   譲渡損益の繰り延べは法人同士の国内取引に限定されていますので、
   完全支配関係であっても、個人と法人との取引の場合は従来通りの取り扱いとなります。

  なお、一の者が個人の場合はその個人だけではなく、
  ・ その個人の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)
  ・ その個人と事実上婚姻関係と同様の事情にある者
  ・ その個人の使用人
  ・ その個人から金銭等を受けて生計を維持している者
  ・ これらの者と生計を一にするその者の親族
  も含まれることになります。

  例えば、本人がA社の株式の全部を保有し、その妻がB社の株式の全部を保有する場合の
  A社とB社の取引も対象になります。

☆ 一の者がA社とB社の株式の全部を保有する場合のA社とB社の関係

   同一の株主に支配されているA社とB社が対象資産を売買した場合には、
   譲渡損益の繰り延べが適用されます。


☆ 上記の他にも、例として
  
  ・ 一の者がA社の株式を100%保有し、B社の株式を30%保有。
    A社はB社の株式の70%を保有している場合のA社とB社との関係

  ・ X社がA社の株式を100%保有。
    A社がB社の株式を100%保有する場合のX社とB社との関係

  などのケースも譲渡損益の繰り延べの対象になります。

次回は対象資産についてご案内いたします。


投稿者: 山邉洋税理士事務所

税務関連・相続のご相談は TEL:03-3261-2363 メールでのお問い合わせはこちら
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